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10/14/2021

2021年10月14日
フレキシブルファクトリパートナーアライアンス

製造現場向け無線機器のための通信規格の技術仕様を一般公開

~マルチベンダーの機器をつなぎ、ネットワークの可視化と統合管理を実現~

フレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)*1 は、製造現場の様々な用途として混在して利用される多様な無線システムを安定化し、ネットワークの可視化と統合管理を図るために必要な通信規格の技術仕様を一般公開しました。

FFPAは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)の提案によるSRF無線プラットフォーム*2 をシステムの基本構成として採用し、通信規格の技術仕様や適合性試験仕様を策定してきました。このほど、製造現場での無線利用に対する期待の高まりを受け、より多くの製品に対してSRF無線プラットフォームの適用を検討していただくため、技術仕様Ver. 1.1を一般公開することにしました。本技術仕様に準拠した製品が普及することにより、製造現場に混在している多様な規格、世代、ベンダーの無線システムが共存及び協調でき、可視化や統合管理が可能となる仕組みが実現されます。

本技術仕様では、無線機器に実装する設定、ポリシー制御、監視を行う機能の定義と、アプリケーション・プログラミング・インタフェースの一種であるREST APIを用いたメッセージが規定されています。FFPAは、本技術仕様に準拠する製品に対して実施する認証プログラムを2021年中に開始する予定です。

FFPAでは現在、5G(第5世代移動通信システム)との連携や、有線と無線を統合したネットワークトポロジーの実現のために機能を拡張した技術仕様Ver. 2.0の策定を進めています。今後も継続して、SRF無線プラットフォームを普及させていくことにより、製造現場の無線化を推進します。

【背 景】

工場では自動化・省人化や変種変量生産への対応のため、ロボットや自動搬送機などの制御や、リアルタイムに人や製造設備からの情報を得て、AIやIoTを活用した検査、分析、作業支援などを行う機会が増えてきています。ニューノーマル時代を迎えたいま、常に人が現場に張り付くことなく、遠隔監視・遠隔作業が可能となる生産プロセスへ移行しつつあります。こうしたなか、移動する搬送機や人に対する通信手段を提供するため、また情報化された設備の設置容易性を高めるために、無線通信はなくてはならないものになっています。

工場で使用される通信機器は、規格や世代が混在し、通信システムの用途や、ベンダーも異なります。無線システムの場合には、システム間の調整がされず、通信障害の問題が発生することがあります。また、稼働した無線システムが、レイアウト変更や周囲の構造物の移動、他の無線システムからの干渉などの要因により、安定した通信ができなくなることもあります。

FFPAは、こうした課題に取り組み、複数の無線システムが混在する環境下での安定した通信を実現するSRF無線プラットフォーム(図1)の規格を策定してきました。各ベンダーが開発した無線機器をつなぎ、無線通信の可視化と統合管理を容易に実現するために、SRF無線プラットフォームの技術仕様を2019年9月に、適合性試験仕様を2021年1月にそれぞれ策定しました。

【成 果】

このほどFFPAは、製造現場での無線利用に対する期待の高まりを受け、より多くの製品に対してSRF無線プラットフォームの適用を検討していただくため、SRF無線プラットフォームの技術仕様(Ver.1.1)を一般公開しました。技術仕様は、FFPAのウェブサイト(https://www.ffp-a.org/contact-spec/)から無料でダウンロードすることができます。

公開する技術仕様では、SRF無線プラットフォームのリファレンスアーキテクチャ、機能、機能間のインタフェース、メッセージ、代表的なシーケンスダイアグラム、およびデータフレームが規定されています。Field Managerと呼ばれるコントローラ、SRF Gateway/AP、SRF Device、SRF Sensorなどの機器(図2)を対象に、各機器に実装する設定、ポリシー制御、監視を行う機能や、アプリケーション・プログラミング・インタフェースの一種であるREST APIを用いたメッセージが定義されています。本規格の採用により、製造現場に混在している多様な規格、世代、ベンダーの無線システムが共存及び協調でき、可視化や統合管理が可能となります。

さらに現在策定を進めている技術仕様Ver.2.0では、製造現場の無線化を更に進展させるために、5Gを収容する機能を追加し、5Gと免許不要周波数帯の無線技術の協調制御を実現します。さらに、ネットワークトポロジーを拡張して、有線と無線が混在するネットワークへの対応や無線カバレッジの拡大などを可能とします。

またFFPAは、本技術仕様に準拠する製品に対して実施する認証プログラムを2021年中に開始する予定です。この認証プログラムでは、テストツールや参照機器を使って、製品がSRF無線プラットフォームの技術仕様に準拠していることを認証する仕組みをつくり、認証製品にはロゴ(図3)を付与します。なお適合性試験仕様へのアクセスや、認証プログラムへ参加するためには、FFPAの会員になる必要があります。FFPAの入会方法など、詳細についてはFFPA事務局(info@ffp-a.org)にお問合せください。

【今 後】

FFPAでは引き続き、2021年中の開始を目指して、認証プログラムの準備を進めてまいります。製造現場の様々な情報の可視化と、ネットワークに接続された設備の統合管理を可能とするSRF無線プラットフォームの普及を促進し、製造現場の生産性向上のための無線通信の利活用を推進していきます。

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<用語解説>

*1 フレキシブルファクトリパートナーアライアンスについて
フレキシブルファクトリパートナーアライアンスは、複数の無線システムが混在する環境下での安定した通信を実現する協調制御技術の規格策定と標準化、および普及の促進を通じ、製造現場のIoT化を推進するために2017年7月に設立された非営利の任意団体。
メンバー企業は、2021年7月末現在、オムロン株式会社、株式会社国際電気通信基礎技術研究所、国立研究開発法人情報通信研究機構、日本電気株式会社、富士通株式会社、サンリツオートメイション株式会社、村田機械株式会社、シーメンス株式会社、一般財団法人テレコムエンジニアリングセンター。会長は、アンドレアス・デンゲル(ドイツ人工知能研究センター)。
https://www.ffp-a.org/jp-index.html

*2 SRF無線プラットフォーム
多種多様な無線機器や設備を繋ぎ、安定に動作させるためのシステム構成。SRF(Smart Resource Flow)は、マルチレイヤシステム分析を用い、製造に関わる資源(人、設備、機器、材料、エネルギー、通信など)がスムーズに流れるよう管理するシステム工学戦略。SRF無線プラットフォームの技術仕様は、FFPAによって策定されている。


図1 SRF無線プラットフォームの動作イメージ
 


図2 SRF無線プラットフォームの実装例
 


図3 SRF無線プラットフォームのロゴ (本ロゴは、FFPAの登録商標です)